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Michio Kaku『パラレルワールド 11次元の宇宙から超空間へ』

パラレルワールド 11次元の宇宙から超空間へ

パラレルワールド 11次元の宇宙から超空間へ

ひょっとしたら天地創造は、永久にたゆたう涅槃の海で繰り返し起きているのかもしれない。

宇宙もかつては電子より小さかったのだから、量子論を宇宙に当てはめると、宇宙が同時にさまざまな状態で存在する可能性を認めざるをえなくなる。つまり、宇宙に量子ゆらぎを適用したとたん、並行宇宙の可能性をほとんど強制的に受け入れることになり、そこに選択の余地などないように見えるのである。

「対称性の破れ」––こうした対称性がビッグバン後にどのように破れたか––を理解することが、ありうべき並行宇宙を知るための鍵を握っている。物理学者のデイヴィッド・グロスは言っている。「対称性は自然の神秘だが、世界の構造の多くは対称性の破れというメカニズムの産物だ」

ワームホールを一般に示した最初の人物は、ルイス・キャロルというペンネームで本を書いたチャールズ・ドジソンだ。『鏡の国のアリス』のなかで彼は、鏡という形でワームホールを持ち込んだ。

自然界のすべての力をひとつのエレガントな理論に統一しようとする場合、10または11次元の超空間でようやく「それだけの余地」ができる。そのような途方もない理論で、永遠の謎だった疑問に答えられるかもしれない。宇宙が誕生する前には何が起きていたか? 時間は逆転しうるのか? 次元の入り口を通って宇宙のあちこちへ行けるのか?

M理論は、物理学で知られる最高の対称性をもつばかりか、もうひとつ「双対性」という隠し玉をもっていたのだ。これがM理論に、五種類のひも理論をひとつにまとめる驚異的な力を与えることになる。

地球が多くのゴルディロックス・ゾーンに収まっている事実が、系外惑星の存在を示唆するように、この宇宙がさまざまなゴルディロックス・ゾーンに位置することは、並行宇宙の存在をほのめかしている。

多世界解釈によれば、シュレーディンガーの猫が死んでいながら生きている状態になるのは、宇宙そのものがふたつに分かれてしまったからにすぎない。

ひも理論によって、素粒子は振動するひもの奏でる音と見ることができる。化学法則はこれらのひもで演奏できるメロディーにあたり、物理法則はひもを支配する和音の法則(和声法)に対応する。宇宙はひもの交響楽で、神の心は超空間に響きわたる宇宙の音楽だ。このたとえが妥当なら、次に「作曲家はいるのか?」と問わなければならない。ひも理論に見られるような、多くの宇宙の存在を可能にする理論を、だれかが設計したのだろうか? 宇宙が微調整された時計のようなものなら、それを作った時計職人はいるのだろうか?