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Reinaldo Arenas『夜明け前のセレスティーノ』

夜明け前のセレスティーノ (文学の冒険シリーズ)

夜明け前のセレスティーノ (文学の冒険シリーズ)

かあさん、ぼくをだますの、これが最初じゃないよ。頭から井戸に飛び込むって毎日言うけど、全然。絶対、そんなことしない。ぼくを家から井戸へ、井戸から家へ死に物狂いで走らせられると思ってる。だめだよ。もううんざりしてるんだ。いやなら飛び込まなくていい。でも飛び込まないなら飛び込むなんて言わないで。

ついにぼくは一匹見つける。棒でなぐりつけ、ふたつにする。でも生きてて、片方は駆けだし、もう片方はぼくの前で跳ねはじめる。とんま、そんなに簡単に殺せるなんて思うなよ、と言ってるみたいに。

「人でなし!」とぼくのかあちゃんは言い、ぼくの頭に石をぶつける。「かわいそうに、トカゲたちはそっとしておくの!」。ぼくの頭はふたつに割れ、片方は駆けだした。もう片方はぼくのかあちゃんの前にいる。踊ってる。踊ってる。踊ってる。

そして夜が明けかかっている。また夜明け。

「顔が水びたしだ」
「泣いてるもの」

アチャスしか見えないしアチャスの音しか聞こえない。壁にアチャスが貼られ、屋根や柱、棟木からぶらさがるアチャスでいっぱいの、このアチャスの家では。床が、通路が、樋がアチャスでできてる。そしてじいちゃんがアチャスを乗せるためのテーブルを作ったときに使った杭さえアチャスでいっぱい。

アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス。 アチャス……

降誕祭バスクワス!……
––ぼくのじいちゃん