Stanisław Lem『ソラリス』
- 作者: スタニスワフ・レム,岩郷重力,沼野充義
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2015/04/08
- メディア: 文庫
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私はまたもや重要な瞬間を見逃してしまった。惑星が現れた瞬間だ。気づいたとき惑星はもう巨大で平たい姿を広げていた。その表面の縞の太さから、まだ自分が遠くにいると見当をつけることができた。いや、遠くではなく、高いところにいるというべきだろう。というのも、天体からの距離が高さに変わる、あの捉えがたい境界をすでに過ぎていたからだ。私は落ちていった。
人間は自分のことを聖なる接触の騎士だと考えている。でも、これが第二の欺瞞だね。人間は人間以外の誰も求めてはいないんだ。われわれは他の世界なんて必要としていない。
愛していない。愛している。彼女は命を捧げる覚悟だ。きみもそうだ。なんて感動的、なんて美しく、気高い話だろう。なんとでも好きなように呼んでいいさ。でもそんなことが問題になる余地は、ここにはないんだ。ないんだよ。
涙が彼の顔を流れ、背広に落ちた。
「これは誰のせいなんだ?おれたちの誰のせいで、こんなことになったんだ?ギバリャンのせいか?ギーゼのせい?アインシュタイン?プラトン?この連中はみんな犯罪者だ、そうだろう?