Juan Rulfo『ペドロ・パラモ』
- 作者: フアン・ルルフォ,杉山晃,増田義郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1992/10/16
- メディア: 文庫
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そうした眠りの合間に、叫び声を聞いた。酔っ払いが怒鳴っているような、嗄れた声の叫びだった。「こんな人生なんざ、くだらねえや!」
『別れるんだ。それしかない』
『でも、どうやって生きていくんです?』
『人間らしくだ!』
「苦いのだよ」コマラの主任司祭は、相手の質問を先回りして言った。「神様の思し召しで、何もかも与えられるところにわたしたちは住んでいるんだが、すべてが苦みを含んで与えられる。そういう宿命なのだ」
気でも狂ったのか?」
「気がつかなかったの?」
「おまえ気違いなのか?」
「もちろんよ、バルトロメ。知らなかったの?」
「今まで小鳥を何羽殺したの、フスティナ?」
「ずいぶんね、スサナ」
「悲しくはなかったの?」
「悲しかったさ」
「ならどうして早く死んでしまわないの?何を待ってるの?」
「死を待ってるんだよ、スサナ」
「それだったら心配いらないわ。今にやってくるんだから」