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Juan Rulfo『ペドロ・パラモ』

ペドロ・パラモ (岩波文庫)

ペドロ・パラモ (岩波文庫)

そうした眠りの合間に、叫び声を聞いた。酔っ払いが怒鳴っているような、しゃがれた声の叫びだった。「こんな人生なんざ、くだらねえや!」

『別れるんだ。それしかない』
『でも、どうやって生きていくんです?』
『人間らしくだ!』

にがいのだよ」コマラの主任司祭は、相手の質問を先回りして言った。「神様の思し召しで、何もかも与えられるところにわたしたちは住んでいるんだが、すべてが苦みを含んで与えられる。そういう宿命なのだ」

気でも狂ったのか?」
「気がつかなかったの?」
「おまえ気違いなのか?」
「もちろんよ、バルトロメ。知らなかったの?」

「今まで小鳥を何羽殺したの、フスティナ?」
「ずいぶんね、スサナ」
「悲しくはなかったの?」
「悲しかったさ」
「ならどうして早く死んでしまわないの?何を待ってるの?」
「死を待ってるんだよ、スサナ」
「それだったら心配いらないわ。今にやってくるんだから」